未知だったタラグルヘラ山遺跡を探検するため、合同隊を組織してともに活動したスリランカ政府考古局。この長年のパートナーに、NPO法人南アジア遺跡探検調査会は今回、ドローン1台を寄贈した。実際は国内の外国人利用規制をクリアするため先に寄贈して考古局所有のものとし、今回の探査に用いた機材を、あらためて受け取ってもらったもので、ドローン1台にしてはやや大げさな贈呈式が本日 (9月6日)午前に催された。

今回の隊員だった考古局探検課のバンダーラ探査主任に案内されて考古局4階の局長室に隣接する会議室に入ると、驚いたことに幹部職員らが集まり、だれの配慮かドローンのバッグには改めて赤いリボンが巻かれている。そこへ登場したマンダワラ局長と、まずは並んで座って授受書類に署名し、ファイルを交換。次いで小生の手から局長へドローンを渡し、局長から小生に返礼の書籍5冊 (いずれも大冊で重い! ) が手渡され、さらに額入り感謝状の授与と、広報部長による謝辞の読み上げ、などと続いたあと、茶菓が運ばれ、局長との懇談となった。局長は3度ほどの来日経験があるとかで、ちゃんと話してみると思ったほど (そして職員らが言うほどには) 気難しい人物ではなさそうな印象だった。しかし小生のほうは、こうしたセレモニーには慣れていないし、大いに気疲れしたというのが実感だ。終わってほっとした。

この寄贈したドローン、さらに内幕を言えば、もともとNPOの予算で買って寄贈するはずだったが、購入を担当したNPO副理事長で今回隊副隊長の甕(もたい)三郎が、遠征予算の不足を見て自費購入のうえNPOに寄贈、それをさらにNPOが考古局に寄贈するという形になったものだ。甕三郎は法大探検部で小生の3期後輩だが、長年、測量機器メーカーとして知られる(株)玉屋に勤務、ODA関連業務にも従事してきた。近年では、角幡唯介くんの北極「極夜行」遠征に際して、「角幡バージョン」の六分儀を制作提供した担当者 (というより主導者) であり、それを角幡くんは行動の初期に暴風雪で失った、というのは同君の著作で知られるとおりだ。

ともあれ、このドローン贈呈式で、今回の小生の全ミッションは終了。明後日には帰国の途に就くことになった (成田着は9日朝)。今回の探査行は、昔の長期遠征に比べれば、わずか40日程度の短い期間だったが、遺跡発見までの紆余曲折があったせいか、それとも歳のせいか長く感じた。もう少し体と心を鍛え直して次に備えるとしよう。