NPO南アジア遺跡探検調査会とスリランカ政府考古局の合同探査隊が、2年前には3度試みて失敗し、今回は1度で成功したタラグルヘラ山遺跡(ヤラ自然保護区)へのアプローチ。

前回の失敗の原因となり、今回も苦しめられたのは、まるで鉄条網の廃棄場を思わせるほどに激しく繁茂する有棘低木帯の広がりだった。ナタで切り開くこともできないこのいやらしいブッシュ帯を避けて、ゾウや野牛やクマやヒョウが何度も通った獣道を探し出してはジグザグに目標に近づいていくのが、ここでの行動様式だ。

前回は先頭に立った村人が勘に頼って大迂回を繰り返したため毎回時間切れで引き返さざるを得なくなったが(夕刻からは野獣の危険性が増して行動できない)、今回はGPSを大いに活用して我々主導で最短のジグザグ・ルートを選び、運よく夕刻前には山麓に着いて最初の遺跡を発見、比較的安全なビバーク場所も確保できた。ビバーク場所は片側が崖となって獣が上がって来られない密林中の広い岩棚で、岩盤のテラスにブルーシートを敷いてみんなが横になることができた。夜中、片側の密林の際で焚いていた獣除けの焚火のすぐ傍までナマケグマがやってきて、しばらくうろつきまわったというが、熟睡していて気づかなかった。火の番をしていた考古局助手も銃を構えていたレンジャーも、起こすに及ばずと判断したらしい。

そんなわけで、翌日早朝からの密林内での遺跡(石柱などが立つ多数の伽藍遺構)発見とタラグルヘラ山頂直下の岩窟寺院遺跡発見、山頂の仏塔跡発見へと続くのだが、その詳細はいずれまた。

ここでは、「鉄条網をまとめて置いたような有刺植物の繁茂」というのが小生流の修辞(いつも大げさだと批判されてます、はい)ではない証拠写真をお目にかけます。有棘植物には、5寸釘を生やしたような、見るからに恐ろしい低木から、目に見えぬほど小さな棘を密生させて延びまくり、衣服に絡みついてくる蔓性の植物まで多種多彩。小生はもう、見るのも嫌ですが……。(岡村隆)